産業医のおはなし②「何科」の医師がいいか

こんにちは。
本日は産業医を「何科」の医師にお願いをすべきか迷っている方に向けたお話です。
皆さまは産業医といえば何科をイメージされるでしょうか。
産業医は、医師免許を有する者が産業保健に関する教育研修を受講すると取得できる資格であり、当然様々なバックグラウンドを持つ医師がいます。

「何科」の医師を選ぶべきかというのは企業の意向により様々で、例えばメンタルヘルス不調者が多いため精神科の先生を希望するケースなどがあります。特に事業規模が大きい場合、複数人の産業医で「職場巡視」「高ストレス者面談対応」等の役割をそれぞれ分担するケースもあるようです。

そういった意味で、私が専門としている「麻酔科医」がどういう仕事なのか、どう産業医に活かせるのか、あまりイメージがつかない方もおられるのではと思いますので以下に記載します。
一言で言うと、麻酔科医は手術を受ける患者の全身管理を行っています。
疾患・術式・合併症・全身状態に合わせて麻酔の種類や量を決め、手術中には呼吸や血圧、体温などを常にチェックします。容体の変化を見逃さない高い集中力と、万が一の時には緊急対応できる素早い判断と手技が求められます。

ではそれがどう産業医の仕事に役立っているかというと、まずは幅広い病気についての知識です。
幅広く様々な手術に関わりますので、例えばメンタル系の治療薬を服用されている方の麻酔管理にあたりその薬の副作用の勉強を行ったり、麻酔のリスクになりうる幅広い病気に関する知識の吸収を行ったりしています。
面談等では様々なご相談が寄せられますので、手術を受ける予定のある従業員からのご質問など、セカンドオピニオン的な立場で活用いただけるのもメリットかと思います。
緊急対応時の手技も得意分野のため、応急手当対応のルール作りのご相談や関連の教育講習等もお受けできます。
それから手術は手術を執刀する医師、看護師をはじめ多種多様な医療従事者が携わっていて、コミュニケ―ションや連携が求められます。
また基本的に麻酔は患者様が心身のストレスなく、安全で、安心して手術を受けられるようサポートするものなので、麻酔科医には”なるべく痛みを感じないようにしよう”、”なるべく気持ちよく麻酔から目覚められるようにしよう”といった”患者ファースト”の意識が少なからずあるのでは、と思っています。

ただし一番重要なことは、産業医は診断・治療をするわけでなく、あくまで医学の知識を活かした勧告・助言が業務となります。産業医はあくまで企業・従業員・主治医の橋渡しの役割となることを踏まえると、人事総務担当者や経営者の方々がコミュニケーションをとった際の相性や、産業保健全般に関する知識の方が重要ではないかと思います。

弊社では様々な診療科の「専門医」と協業しております。ぜひ当社の産業保健支援サービスをご活用いただき、貴社のご事情にマッチした産業医の活用にお役立てください。