産業医が解説|年末の大掃除で意識したい、快適・安全な作業場づくり
こんばんは。産業医の比嘉です。
年の瀬ということで、自宅や職場の大掃除を済まされた方も多いのではないでしょうか。
今日は産業医の視点から「大掃除で意識したい、快適で安全な作業場づくり」についてお話しします。
産業医は、安全や衛生上の問題点がないかを見て回る「職場巡視」を行っています。
一見、安全そうに見える場所でも「ヒヤリ」とするポイントが隠れていることがあります。
大掃除の際、ぜひ以下のチェックポイントを意識してみてください。
【安全面】ケガを防ぐチェックポイント
- 通路の確保: 通路に物が置かれていませんか?コード類や段差につまずいて転倒する危険はありませんか?
- 落下防止: 棚の上に重い物が積まれていませんか?置かれている場合、落下防止措置は取られていますか?
- 災害対策: 消火器は取り出せる位置にありますか?避難経路は把握していますか?
- 薬品管理: アルコール消毒薬など、人体に影響のあるものは適切に管理されていますか?
- 衛生管理: トイレや水回りは清潔ですか?冷蔵庫に飲みかけのペットボトルが放置されていませんか?
【健康面】集中力を高める作業空間
作業環境のガイドラインでは、作業の負担を減らすために以下のような基準が推奨されています。
下記のイラストは、厚生労働省「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」より引用したものです。

- 明るさ(照明): 机の上は十分な明るさが(300ルクス以上)ありますか? 書類を読むのに暗すぎると眼精疲労の原因になります。
- 空気環境: 室温は18℃~28℃、湿度は40%~70%が目安です 。寒すぎたり乾燥しすぎたりしていませんか?
- 換気: こまめに窓を開けて空気の入れ換えを行っていますか?
- 姿勢(椅子): 足裏全体が床に着く高さに調整しましょう。肘掛けなども活用し、無理のない姿勢で作業できるようにします 。
- 机の下:私物でいっぱいになっていませんか?窮屈な足元は、同じ姿勢を強いられ、腰痛や肩こりのもとになります。
チェックの極意は「意地悪なシミュレーション」
これらのチェックを行う際、とっておきのコツがあります。 それは、「どうやったら目の前の人にケガや病気を起こさせられるか?」と想像してみることです。
目の前の人が時間に追われて作業を進めたら?と想像するとよいと思います。
- 「この通路に敷かれているコードは、焦っているとつまづいて転倒しそう…。」
- 「デスク裏にあるキャビネット上のプリンター。落ちてきたら頭に直撃だ…。」
このように「逆算」して考えることで、危険の潜む箇所が見えてきます。
そうはいっても、毎日過ごしている場所だと意識できないもの。 だからこそ、家具や荷物に意識を向ける「大掃除」は絶好のチャンスなのです。
キレイになった空間は気持ちが良いだけでなく、「最も安全で効率的な作業場」でもあります。 ぜひこの週末、産業医の視点を少しだけ取り入れて、「快適なワーキングスペース」を作り上げてみてください。
それでは、皆様よいお年を(そして、私はこれから掃除を始めます…!)。

