産業医のおはなし⑥フジテレビの問題と産業医について

 

フジテレビが話題になっていますね。
このブログを書いている深夜0時現在で、開始から6時間越えの記者会見が続いています。

週刊誌報道に端を発した女性社員と中居氏とのトラブルは大きな波紋を呼び、スポンサー70社以上がCM差し止め、多くの関係者、また株価や会社運営にも多大な影響を及ぼしています。

今回の件で得られる教訓を産業医の視点でとらえてみると【メンタルヘルス不調の相談があった際にはスピーディに丁寧に対応する】ということになります。

ハラスメント等で心身の不調を申し出た従業員がいた場合、会社側から産業医面談の依頼を受けることがあります。ここで注意しなければならないのは、「産業医面談を実施したことをもって経営層の免罪符にはならない」ということです。ハラスメントがメンタル不調の原因の可能性があるのであれば、会社は、この原因を調査する必要があります。原則的には①相談者②加害者③関係者の順だと考えます。

正式にハラスメントが認定されれば、ハラスメントを行った人物は懲戒処分の対象となります。(あくまで規定が整備されている前提の話です。)メンタル不調に絡む労使間トラブルは会社を揺るがす一大事となりうるため、一連の対応はスピード感をもって臨むことが重要です。

今回のケースでいうと、中居氏は従業員ではなく外注先にあたるため懲戒処分は行えません。代替策としては取引の停止や損害賠償の請求といった対応になるでしょう。
また今回は会社側の対応の遅れが最も問題として指摘されています。相談者のプライバシーや心身の状況に配慮して、中居氏への調査が不十分だったようで番組をそのまま継続させてしまったとのことです。

今回のケースでは産業医も面談に同席していたとの報道がありますが、単に面談をして従業員の健康に関して意見するだけでなく、会社として適切な対応なのかも含めて助言ができる産業医であるべきだと感じます。