産業医のおはなし①二次健康診断給付について
こんにちは。
この季節に健康診断を実施する企業様も多いのではないでしょうか。
この暑い時期に朝ご飯を食べられないのは辛いですよね。
さて、定期健康診断を年に1度実施することは企業の義務となっておりますが、結果が芳しくない方に対する受診の促しや対応に苦慮されたことはないでしょうか。
解決法の一つに「労災保険二次健康診断等給付」があります。
これは特定の項目が異常値を示した方(※)、または産業医が必要と認めた方で、脳・心臓疾患の症状を有していない方が受けられる、より詳しい検査と保健指導を指します。
適用には条件があり、1次健康診断の受診から3か月以内に受診すること、1年度につき1回まで、健診給付指定機関にて受診することなどとなっています。
※(1)血圧検査(2)血中脂質検査(3)血糖検査(4)腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定
二次健康診断は脳血管と心臓の状態を把握するための検査で、具体的には次の検査を行います。
(1)空腹時血中脂質検査
(2)空腹時血糖値検査
(3)ヘモグロビンA₁c検査 ※一次健康診断で受検している場合は、二次健康診断では行いません。
(4)負荷心電図検査または胸部超音波検査(心エコー検査)のいずれか一方の検査
(5)頸部超音波検査(頸部エコー検査)
(6)微量アルブミン尿検査 ※一次健康診断の尿蛋白検査で、疑陽性(±)または弱陽性(+)の所見が認められた場合に限ります。
例えば心エコーや頸動脈エコーの検査費用は、受診者の3割負担でそれぞれ大体2,640円、1,650円ですから、これが無料になるのはうれしいですよね。
なぜこのような制度があるかというと、高血圧や肥満などが脳卒中や心臓病(心筋梗塞等)になりやすいことが分かっていて、仕事中の突発的な発症など大事になる前に改善する方が総合的に見てメリットが大きいためです。
企業は従業員から提出された二次健康診断等給付請求書の事業主証明の記載と、二次健康診断の結果が従業員から提出された際に医師等に相談して必要な就業上の措置を行う必要があります。
二次健診は有料のため受けたくない、という従業員の心理的障壁を下げるものです。
企業様は積極的に活用を促していただくといいのではないかと思います。